「ち……近づいてくんな!!」
廃墟と化した建物の床は、塗装が剥がれ砂埃にガラスの破片まで落ちている。
それをわざと引きずる様にして歩く桜木は、彼らの恐怖心を煽るのを楽しんでいる様にも見えなくもないから趣味が悪い。
「これ以上近づいたらこの女……っ」
グッとスキンヘッドに顎を掴まれる。
それを見て桜木は呆れたようにため息を吐く。
「ねぇー、人の話聞いてる?
俺の女雑に扱わないでくれるー?」
「……っ」
「まあ……その子に指一本触れてる時点で、許す気なんてこれっぽっちもないんだけどねー」
さっきのふざけた演技とは違って、桜木の顔つきが変わる。
一歩一歩近づいてくる桜木がどんどん距離をつめてくる。
息を呑む暇さえ与えてくれない。


