【完】黒薔薇の渇愛







なんで……っ。


なんでこんな時に、そんな言葉。


「やっ……!」


「はは!思った通りだねー天音ちゃん。
 君優しい言葉や褒め言葉に慣れてない分、弱いでしょ?」


「……やっ、やだ」


「言っとくけど俺は、人形を抱く趣味はないからね。
 本当の天音ちゃんじゃないと抱くつもりはないよー。」


「んっ……」


呼び起こされた正気が、目の前の男を怖いと言っている。


危険な赤信号が脳で何度も点滅し、目の前がチカチカする。


するりと彼の手が、服の中に入ってきそうになったとき。



「やっ……やめて!!」


ーードンッと桜木の胸板を押し、真っ白なシーツで身を隠しながら息を荒げた。



「……っ……っ」


怖い、嫌だ、こんなのダメだ。


私はこんなことしたくて、されたくて
生きてるわけじゃない。


なのになんで。


『好きにしていい』なんて、自分でもよく分からないこと吐いたんだろう。