「……って、思ってたんだけど。
 そもそも俺の名前、花の名前でできてるでしょ?
 だから今更、また一輪増えたところで……だよね」


「……」


「それに天音ちゃんが好きならいいや、黒薔薇」


「うん、好き」


「……」


「どんな花でも、桜木なら好きだよ。」



水を欲しがる花みたいに。

あなたの喉が渇く前にたくさんの愛を注いで、あなたを潤したい。


桜木が嬉しそうに笑う。


それだけで幸せを感じてしまう私は、愛を与えられてる側の様な気がした。



「そんなに好きなら、呼べるでしょ俺の名前くらい」


「きっ、ききょ……?」


「ハッ、なにそのウグイスの鳴き声みたいな呼び方。
 かわいねー天音ちゃん」



「き、桔梗こそ」



「ん?」


「いつもカッコイイ……よ?」