【完】黒薔薇の渇愛






「じゃあお前も、散るときは一緒だね」


言いながら桜木は、ドカッ!と容赦ない蹴りをおみまいする。


哲の首根っこを掴み、完全に伸びているのを確信すると

桜木は私を見る。



「今のは……ダメ?」


「私は何も見ていない、私は何も見ていない、私は……」


「そっ。よかった」



……この場合どうしようもなかったじゃん。


私が止めたところで……哲にもプライドがあったんだろう。


多分あのまま見逃されることの方が、実は辛かったりするのかも。



「なんかもうよく分かんなくなってきた……」


「俺のこと?」


「桜木がっていうより、男のことが?」


「なに天音ちゃん。
 俺以外の男に興味持ち始めてるの、許せないんだけど」



「そうじゃなくて……っ!」