「乗れ」
嫌だ。そう言ってやりたいのに。
絞ってしまった喉が、緩まない。
私は仕方なく、男の言う通り黒塗りの車に乗った。
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「最初はグー、じゃんけん」
「「「ぽんっ!!」」」
いつ警察がここの道を通るかも分からないのに、気にせず一方通行に車を停めて、呑気にじゃんけんをしている男三人。
他の車がこの道を使おうと入って来ようもんなら、クラクションで威嚇し、この道に他の車を寄せ付けさせようとしない。
……さっきから震えが止まらない。
ていうか、なにがしたいんだろうこの人たち。
「あっ、哲の勝ちじゃん。
いいなー」
「なんだよ、また哲の勝ちかよ。この前もじゃんけん勝って、女持ち帰りしてたじゃん、たまには譲れよ」
茶髪男と黒髪の男が悔しそうに言う。
「じゃんけん弱いお前らが悪いんだよ。
それじゃあ林部、お前運転席代われよ」
「はーい」
車の後ろに私と座っていた茶髪男が、運転席にいる金髪男と席を代わる。


