【完】黒薔薇の渇愛






『天音ちゃん……?
 なに、そこに誰かいんの。誰』


危機を察知した桜木の低いこえが、電話越しから聞こえてくる。


今すぐ私の口を押さえてる金髪の男の腕を噛んで、桜木に助けを求める?


……いや、その前にやられる。


女の私ひとりじゃ男に勝てるわけがない。


「おい、返事すんなよ。
 今桜木にバレちゃ、たまったもんじゃねえからな」


私の耳元でボソボソと金髪男が言い、携帯を無理矢理奪われると、桜木との通話を強制的に切った。


口を押さえられていた手がやっと離れる。


解放されて、やっと息ができた。




「おい、安心してるとこ悪いけどよ。
 お前には俺らに付き合ってもらうぜ?」


「ーーッ……」


なんだろうこの恐怖は。


抵抗したいのに声がでない。


金髪男が冷たい目で私を嘲笑う。


その横にいる茶髪の男と黒髪の男は先に歩きだし、一方通行なんかお構いなしに停めていた車のドアを開けた。