声聞いたら会いたくなっちゃうから、早く電話切りたいのに。
桜木の声が耳元で感じられるこの時間がずっと続けばいいのにって思っちゃう。
「さ、桜木」
『どうしたの』
「あのね……っ」
大地お兄ちゃんが私のこと、大事にしてくれてるのはわかってる。
でも、桜木のことだって私と同じくらい大事だよって。
そう伝えようとした。
その時。
「ーーんっ!?」
誰かに口を押さえられ、すごい勢いで後ろに引っ張られた。
だ……誰!?
首を回して、横目で後ろを見ると。
知らない男三人にいつの間にか囲まれていた。
「やっと見つけた、和倉天音」
「"黒薔薇"の唯一の弱み。」
「へぇー、噂通り地味だけど結構可愛いじゃん?」
ニタニタと気味の悪い笑顔を見せる男たちは、鉄パイプを片手に……どうやら私を逃がしてくれるつもりはないみたいだ。
今……黒薔薇って言ったよね。
それって桜木のこと?
だとしたらこの人たち……桜木の敵?
この雰囲気は絶対仲間なんかじゃなさそう。
……どうしよう。
まさかこんな展開になるなんて思ってなかったから、怖くて声がでない。


