【完】黒薔薇の渇愛






動かしていた足を止め、電話越しの桜木の耳にこれでもか!ってくらい届くように、無意識に大声を出していた。


『……』


「……」


『……』


「えっと……桜木?」


返事がない。


まさか通話切れちゃったとか!?

慌てて携帯画面を見るけど、通話は繋がったまま。


すると。


『本気で……言ってんの』


ちゃんと、伝わってたみたい。


桜木の声は心なしか震えている。



「ほんと……!
 お母さんから電話があってね、帰宅途中だったけど今からお兄ちゃんに会いに病院に行くの。
 桜木も来るでしょ?」


『いや、俺は明日にでも会いに行くよ』


「どうして……?
 だって桜木、お兄ちゃんが目を覚ますのずっと待ってたのに……」


本当は『一緒に行こう』。って誘われるのを待ってたのかな、私ってば。


桜木の言葉に、分かりやすくガッカリしてしまう。