【完】黒薔薇の渇愛




桜並木を抜け、一方通行に入ると建物に沿う様にして歩く。


携帯に登録している桜木の連絡先をタップし、耳に当てたコールを数回聞くと。



『ーーなあに、天音ちゃん』


眠そうな声で電話に出た桜木相手に、早口になる。



「さく、さく、さく」


『なに、イタズラ電話?
 天音ちゃん、ちゃんと喋れてないんですけどー、怖すぎ~』


「あっ!」


慌てすぎて言葉が追い付かない。


「すぅ……はぁ」と何回も深呼吸を繰り返していると
『えっ、変態からの電話?』と、勘違いされてしまう。


「ち、違うよ……!てか変態じゃないし」


『だってさ、何回君の息づかい聞かされたら天音ちゃんの気が済むの』


「だって……っ、お兄ちゃんが」


『大地さんが?』


分かりやすく興味を持つ桜木に、嬉しくなって鼓動が早くなる。



「お兄ちゃんの意識が……戻ったの!!」