【完】黒薔薇の渇愛







意地悪に笑って、また翻弄される。


この男は一体何回私の顔を熱くさせれば、気がすむんだろう。



「しっ、知らない……っ!
 そんなの桜木にしか分からないんだから、自分で考えなよ……っ」


「考えても分かんないから天音ちゃんに聞いてるんじゃーん。ケチだね~」


「そっちこそ……!
 早く答え出してくれなきゃ、私が他の人に目移りしちゃっても知らないんだから……!」



プイッと顔を横に向かせたのは、一瞬だけ。

すぐに風船の様に膨らんだ頬は、桜木の大きな手に掴まれ、また視線が重なる。



「させないよ」


「……っ」


「他の男になんか、絶対あげない。
 天音ちゃんは俺だけ見てろよ」


「桜木は私のものにならないくせに……」


「そんなの、天音ちゃんが決めることじゃないよ。」


「……」


「俺が決めることだよ」