「桜木こそ……大地お兄ちゃんの妹って知ってたなら、私にもっと優しくしてくれてもよかったよね!?」


桜木がお兄ちゃんのこと好いてるなら尚のこと。



「あんな出会い方って最悪だよ!
 意地悪だし、最初なんか私のこと襲おうとするし……っ。
 もしお兄ちゃんが目覚めた時、私が桜木のこと愚痴ってたら二人の関係だって壊れちゃうかもじゃん……!?」


「でも、天音ちゃんはそんな俺のこと好きになったんでしょ?」


「……っ」


「俺は大地さんの妹だからって容赦するほど、人間できてないよ。
 興味惹かれる者にしか興味ないの。
 そこに大地さんは関係ない」


「……」


「だから……困ってるんだよな」


「……へっ?」


ふぅ……と、煙草の煙を吐き出す様なため息を、桜木は窓の外に視線を逸らしながら吐く。


もう一度、私の目をまっすぐ見る。


吸い込まれそうな、桜木のギラついた目は、少しばかりの光を取り戻していた。