大地さんが交通事故にあったと知らされたのは、それから一週間後。
噂好きで聞けば答えられるほど情報だけは両手いっぱいに持ってる朱光からだった。
「そういえばさ、桜木さん。
和倉大地と知り合いでしたよね?」
「それが、どうしたの」
朱光は俺と同い年なのに、初めて会った時からずっと『さん』付けしてくる。
違和感はあったが、逢美をつくってからは
俺に対して敬語まで使ってくる様になった。
あんまりいい気はしないけど、"逢美"関係じゃなければ、すぐタメ口に戻る。
「最近あっち方面で交通事故あったじゃん」
「……」
「あれね、未成年が運転してたバイクに跳ねられたらしいよ。」
嫌な予感がした。
朱光が俺と大地さんの仲を知ってたとしても
"知り合い"程度にしか思っていないのか。
少年誌をペラペラ捲りながら、淡々とした口調で話し始める。
他人事のように感じて、いつも話を適当に受け流す俺は"ここ"にはいない。


