【完】黒薔薇の渇愛






「なあ、桔梗」


「なあに」


「お前さ、もっと色んな奴と関わって、世界広げれば?」


「……」


「そしたら寂しくないだろ?」



寂しい、とか、寂しくないとか。


ずっとどうでもいい感情だと思っていたけど。


大地さんの言葉は、なんだかしっくりきた。



夕方になり、大地さんと俺は帰る方向が反対だったから、分かれ道の角にお互いバイクを跨がりながら停め、顔を合わせる。



「桔梗、このバイクお前にやるよ」


「えー、大地さんそれお気にのバイクじゃん。
 急にどうしたの」


「いや、車の免許とったしいいかなーって。
 もうすぐ高校も卒業だろ?
 だからお前にやる」


「……」



そっか。

大地さん、高校3年生だもんね。


卒業したら、この街からいなくなるんだ。