【完】黒薔薇の渇愛









「しんどーーい」


免許をとったからには、どこか遠くへ行きたくて、先輩から借りたバイクを走らせた先は広々とした草原。


肌を撫でる風を感じながら、俺は大の字で草の上に寝転ぶと。


一緒に来ていた大地さんが、上から俺の顔を覗いてくる。



「再婚しても、やっぱ母親との関係はよくならないのか?」


「大地さんバカだねー、その逆。悪くなる一方。
 しかも連れ子の方を可愛がってるんだよねー、ウケる」


「寂しいのな、桔梗。」


「はぁ?二度とそんなきもい事言えないよう、その口縫ってあげようか?」


「めんごー!!」



大地さんにデリカシーがないのはいつものこと。

触れてほしくない部分に、直接触れてくるけど
大地さんだからまあいいかと思える。



そのくらい、この人にはいつも助けてもらってばかりで
返せない恩が数えきれないくらいある。



他人のことには鈍感だ。
いつだってどうでもいいと思える。


でも一度深く関わった人間は違う。


自分の心を許してしまった瞬間、俺はその人に執着してしまう癖があった。



だから毎回ベラベラと、この人に何でも話してしまうのかね~。