意を決して俺は電話にでた。
「……なに」
『あっ……桔梗久しぶり、よかった出てくれて』
懐かしいその声に鳥肌がたつ。
それと同時に妙な脱力感を覚えた。
なんで今更電話なんかしてきたんだ、と思う反面、久しぶりに母親の声を聞けてひどく安心している自分がいる。
「……なに」
だからと言って、優しくしようとは思えないけどね。
『あの、ね。元気?』
「そーいうのいいから。用件だけ言ってよ」
『あっ……えっと。
今日の夜、帰ってこれない?』
「なんで」
『会わせたい人がいるの』
嫌な予感がした。
元々、母さんはひとりで生きていけるタイプの人間じゃないけど。
……もし、これが再婚の話だったら。
ちょっと早すぎるんじゃないの。
父さんが亡くなって、一年と半年しか経ってないのに……?


