「あっ」と、思い出して思わず声に出す。
このお花、トルコキキョウだ。
この間お見舞いにはどんなお花がいいかネットで調べてたら出てきたっけ……。
淡い紫色のトルコキキョウ。
目が離せない。
まるで誰かを見ている様な気持ちになる。
「桜木……桔梗」
なんでこの部屋に、彼の名前があるんだろう。
桜木はこんな時でさえ、嫌でも私の視界に入ってくるんだね。
ダメだよ、これ以上好きになっちゃ。
知ってるでしょ、桜木には他の人がいるって。
見たでしょ、この目で。
……なのに、なんでこんなに。頭では分かっているはずなのに諦めきれないんだろう。
「お兄ちゃん、私ーー……。」


