【完】黒薔薇の渇愛









つまらない。


たったそれだけで学校を抜け出すなんて思ってもみなかった。


あと一時間耐えればいつも通り下校できたのに。


最近色んなことが起きるから
気持ちが全然追いつかない。


だから余計会いたくなる。


桜木に。


放課後は決まって桜木を探した。


気まぐれな彼のことだから、一ヶ所に踏みとどまったり、依存なんかしないんだろうけど。


だからこそどこにいるのか分からなくて、あてずっぽうに街を徘徊。


ひたすら歩いて、もう二時間が経つ。



「全然……見つからないじゃん」



ギュッと握りしめる携帯。


この中に桜木の連絡先が入ってる。


……電話してみれば、案外とったりして?


でもそんな勇気ないから、今の今までかけれないんじゃん。


自分のこととなると勇気がでない自分が嫌になる。



けど桜木を諦めたくない。


だってそもそも諦めるつもりがないから、こうやって彼を求めるの。



目を合わせなきゃ分からないことだらけ。
私はただ、彼の視界に入ってたいだけ。