昨日、あの後。
桜木のらしくない言葉によって作られた、何とも言えない空気に気まずくなり
私は黙りを決めてしまった。


自分勝手なあの男のことだから、私みたいに気まずい……とは思っていなかったと思う。


でもやっぱり、らしくない男は、その後何も言わず
、私をすっかりシートが冷たくなってしまったバイクに乗せて家まで送ってくれた。


優理花さんはその光景をどういう気持ちで見ていたんだろう。


それに、あの集会の雰囲気を完全に壊したのも私だから。


家にはいる前、桜木に「邪魔してごめんなさい」と素直に謝ると。


「別に、行きたくなかった集会だからいーよ。」と手を振られ、彼は機嫌良く帰っていった。


桜木は"ああ"言ってたけど

一回だけ行ったことがある桜木の家の方向に、バイクは走らせず
もう一度同じ道を引き返していったのを、姿が見えなくなるまで見ていた。


あの土手にもう一度行くということは、優理花さんにもう一度会うということに繋がる。



……また、冷たいこと言ってないといいんだけど。


そう思うと同時に、私の中でモヤモヤした感情が渦巻きはじめる。



お似合いなふたりを見て、ちょっとどけ悔しかったなんて……。


思ってしまうのは、桜木のことが気になるから。

私は鈍感じゃないから
ハッキリと分かってしまうこの気持ちに、目を逸らしたくなった。