足跡のつかない雑草をねじる様に踏んづけ、桜木から目を逸らし階段をのぼる。
上にあがって、土手を見渡すと
下には大勢の人がいて、あの集団に自分が混ざっていたことに未だにドキドキしている。
悪目立ちしすぎた。
私みたいな、不良とは違った世界にいる人間が、来ていい場所ではない。
世間から色眼鏡として見られている彼ら。
でも、彼らには彼らの世界があり
そんな人達の世界に私みたいなのが存在してしまったら、こんどは私が色眼鏡で見られてしまう。
でも誰も何も言ってこなかったのは、隣に桜木がいたから。
「ねえ、天音ちゃん。なんで怒ってるの」
そんな一目置かれてる桜木が、私を追いかけてきた。
もう一度土手を見た。
やっぱり皆、私と桜木の関係が気になって注目の的になっている。


