……っと思いたいのは山々なんだけど。
実際この男に何回ピンチを助けられたことか。
そう思うと、やっぱり顔だけ……とは思えない。
悔しいけどすっごく頼りになる。
……絶対本人には言わないけど。
「ねえ……もしかして、その子のこと本気とか言わないよね?」
震えている手を押さえつけながら、優理花さんは桜木に問う。
一目見ただけでも分かる。
優理花さんが桜木に惚れてるって。
鈍感とは程遠い桜木のことだ。
きっと優理花さんに想いを寄せられていることに気づいていると思う。
でも、容赦のない桜木は口角を上げ、渇いた瞳で優理花さんを映した。
「俺が天音ちゃんをどう思ってるかなんて、知らない方がいいんじゃない?」
「……」
「知ってるよ、俺。
優理花が俺に近づく女に酷いことしてたこと」
「ーーッ」
自身の悪事を大人数の前で暴露されて驚いているというよりも、好きな人に気づかれていたことに驚いて、息を呑む優理花さん。
桜木は、でも"そんなこと"はどうでもよさそうだ。


