「……桔梗は、誰にも本気にならないでしょ。
キスなんて、なに言ってるの。
今までの女の子とは、遊びであっても……キスだけはしなかったじゃない」
しんしんと降る雪のような綺麗な静けさを纏った優理花さんの声は、とても悲しげでそれでいてどこか熱も感じる。
女の勘だけど……その言葉に嫉妬が含まれている。
けど、気づかない振りをする私を優理花さんは睨み
その鋭い目はさっき見た時と同じで、やっぱり睨まれていたことは勘違いじゃなかったみたい。
「なに、ちゅーぐらいで騒いでるの優理花。
もしかしてその歳でしたことない?」
桜木の問題発言に、私も優理花さんもギョッとする。
そういう触れていいか分からない部分の話を、幼い頃から一緒の幼なじみによく聞けるよね。
……優理花さん綺麗なのに、なんで桜木なんか好きになったんだろう。
もっと他にいい男、絶対いるよ。
この男のいいところと言えば、顔だけなんだからね!!


