【完】黒薔薇の渇愛





からかうのが上手な桜木は、言いながらもたれ掛かる様に私を抱き締める。


桜木のアウターと桜木自身に挟まれて、彼の匂いと体温に頭がクラクラしてくる。



もう、限界だ。



「は、離れて……っ。
 離れてくれなきゃ」


「……離れてくれなきゃ?」


「口利いてあげない!」


今の私にできる精一杯の嫌がらせと言えばこれ。


自分勝手な男だからこそ、無視されることがきっと嫌いだと思いついたけど……。


上着越しに振動が伝わってくる。


なにかと思って桜木の顔を見ると、彼は肩を小刻みに揺らせ笑っていた。



「ハッ……口利いてくれないのは、確かに辛いねぇ」


「こっちは……しっ、真剣に言ってるの!」


「なら、無理矢理口開かすことになるけど……いい?」


「えっ」


「激しいのがお好みの天音ちゃんには、それじゃあご褒美になっちゃうだろうけど。
 口利いてくれるなら、どんなことでもしてあげる」


「いっ、いやあの、遠慮しとこうかな~」


「遠慮しなくていいのに」