なにが"よし"なんだろう。
周りがこの男に振り回されている間に、一息つこうとため息を吐く。
相変わらず、何のための集会なのか
空気はすべて逢美を中心に持っていかれ
誰も口を開こうとはしない。
多分……空気を読んで開いてないだけとは思うけど。
暗い土手には、夜風でザワつく草とそれに合わせて揺れる川に浮かんだ月だけが唯一視界に入る癒し。
一瞬でも瞬いて、他の方に目を向ければ
人相の悪い特攻服を身に纏った不良だらけだ。
おもいっきり場違いな私が、好んで目を合わせようとは思わない。
けど、ひとりだけ。
この空気に溶け込む、綺麗な華がいる。
けっしてこの場に交わりそうにないのに、その華は堂々と立って、桜木の名前を呼んだ。
ーーえっ?
ふと気になって、優理花さんを見たらバチっと目が合ってしまう。
その時タイミングよくメガネがズレて、慌てて直したときには
彼女はこちらを見ていなかった。
……気のせい?
今私を睨んでなかった?


