【完】黒薔薇の渇愛







「つってもー、ただの幼なじみだから気にしなくていいと思うよ。
 あ・ま・ねちゃん」


いつの間にか私の隣にいる朱光さんは
人差し指で私の頬をツンッと突いて、ニヤニヤしながらからかう。


「~~っ!気にするってなにがですか!!」


「はは、分かりやすいね~。
 おもいっきり顔に出てましたけど?
 『私の桜木に彼女がいたなんて嫌だ!それに美人なんて勝ち目ないー!!』ってね」


喉を締めて無理やり女声を出す朱光さんは、似ても似つかない私の真似をし始める。


「なっ……!?そんなこと思ってないんですけど!」


「隠さなくたっていいのに~、素直じゃないね~」



「~~っ!!」


ムカついて朱光さんに一歩詰め寄れば
急に桜木が私と朱光さんの間に割って入ってくる。



「ふたりとも距離近いんじゃない?
 ……それに、俺以外の男に自分から近づくなんて、天音ちゃん自分が誰のものか分かってる?」


「……っ!?別に誰のものでもないんですけどっ!!」


「そうだねー。……この前まで岡本奏子君のだったけど。
 今はフリーだもんね。」



「……っ」