【完】黒薔薇の渇愛






一方で、これだけの大人数が集結しているのに
妙に静かなのはどうしてなんだろう。


桜木ばかりに目を向けていたせいで気づかなかった。


私は今、ドーナツの穴の様な円の中心にいる。



大勢の人間の視線が痛いほど突き刺さってるのに
誰も声をあげたり、ましてや喧嘩をし始めた二人の仲間ですら騒がずにいるのは


一対一という、お堅いルールを不良ながらに守っているからと。


その他に、桜木が現れてからだろう。


……簡単に口を開けなくなったのは。


この男はいるだけで圧がすごい。


人の口を器用に縫うくらい、余計なことを言えなくさせる。