【完】黒薔薇の渇愛





「とーこーろーで」



スッと蝋燭(ろうそく)に灯した火のように、フッと現れた桜木の人差し指が私の唇にくっつく。


その人差し指は、空気を撫でるように赤い特攻服の男の方に向くと。



「この男のお仕置き……どうしようか、天音ちゃん」



「「……っ!?」」


正面で向かい合っている男と私の目が、桜木の言葉によって見開かされる。


冷たい声色から発される言葉で、胸の奥が不安になって熱を帯びる。


男は鋭い桜木の目を一人占めしているせいで、「ひぃ……っ」とさっきまでの威勢とは真逆の情けない声をあげた。


「天音ちゃんがいったーい(痛い)思いをしたんだから、君も痛い思いをしないと、天音ちゃんだけ可哀想でしょ?」


「……すみませっ」


「今さら謝ったってダメなもんはダーメ。
 天音ちゃんは俺のなのに……先に手を出したのが君だなんて最低最悪な気分なんだけど。
 ……どこのチームの者か知らないけど、今日でもう会うことはないね?サヨナラ」