【完】黒薔薇の渇愛





すると。


「へっ!?」


ギュッと力強くいきなり抱き締められたと思ったら、こんどは体のいろんな場所を桜木は触ってくる。


「なっ、なにすんの変態!!」と、桜木の胸板を押して、距離をとろうとするけど。

ガシッと両手で頬を包むように触られ、桜木がジッと私の目の奥を覗いてくる。



「怪我は?」


「へっ……?な、ない、です」


「痛いところは」


「……ない、けど」


「そう。よかった」



心底ホッとした様な顔を見せる桜木。


ねぇ……ウソでしょ。


私まさか、頭打っておかしな夢でも見てるんじゃないかな。


だって、"あの"桜木が他人である私の心配なんて……。


まさか天変地異の前触れなんじゃ……。