【完】黒薔薇の渇愛





皆が私を見ている。


視線が痛い、怖い。


一瞬、私の言葉に赤い特攻服の男は反応し手を止めたけど。
何事もなかったかのように白い特攻服の男をまた殴った。



「やめてって……言ってるじゃん!!」


川に浮かび上がる月の姿が、揺れている。


空気を読まず、本気で喧嘩を止めようとしている部外者の私に
この場にいる全員がまた目を向け、ザワつきはじめた。



だけど、肝心のふたりが喧嘩を止めようとしないから。


もう一度、白い特攻服の男を殴ろうとする男が拳を突き上げたとき。


私はいても立ってもいられなくて、男たちの前までやってくると
殴ろうとしている赤い特攻服の男の手首を勢いよく掴んだ。