【完】黒薔薇の渇愛





「あーあ、つまんなーい。やっぱ来るんじゃなかった。
 これ以上時間無駄にしたくないし先に帰っちゃおー。
 天音ちゃん一緒に帰ろ?」


ぎゅっと桜木に掴まれた手。

この手に毎回、振り回されている。


土手に背を向けた桜木の背後で、続く争いにはこれっぽちも興味がないと。
まるで子供みたいにそっぽ向く彼。


それを横で見ていた朱光さんも、「しゃーない。逢美全員退散させるか」と、目の前で起きている出来事に目もくれず。

まるで何事もなかったかのように土手の階段をおりていく。


ほんと……意味分かんない。

ふたりとも
少しでも、助けようとか思わないの?


桜木に頼ろうとした私がバカだった。



私の手を掴んでいる桜木の手をおもいっきりに振りほどいた瞬間。


「あっ」
  

まぬけな声が出た。


斜面になっている土手に、グラついた足が奪われ。


「~~~っ!??」

声にならない声を出しながら
そのままーーズザザ!と下の方に転がっていく、なんとも格好がつかないバカな私。



転がり終えて、恥ずかしさを殺しながらゆっくり起き上がると。

制服のあちらこちらに草がたくさんついていて。



目の前には……人相の悪い不良の集団が、上から転がってきた私に注目していた。