【完】黒薔薇の渇愛





朱光さんが淡々と言ってのける時点で、逢美がどれだけすごい立ち位置にいるのか。


暴走族とか不良とか……よく分からない私にでさえ、そのすごさが分かってしまう。


ごくりと緊張を和らげようと唾を飲んで、桜木を見る。


「ね……!なんで皆見てるのに……止めようとしないの?」


あんなに大勢の人間が一斉に注目してるのに。


誰ひとりとして止めに入らないことに、違和感を感じる。



「集会で、下手に手助けすると族同士の争いが生まれるからね~。
 喧嘩するなら一対一。吹っ掛けた奴、吹っ掛けられた奴でやれって事だよ。
 触らぬ神に祟りなしってわけ。」


「なに……それ。
 一方的すぎるよ。吹っ掛けられた人可哀想」



「まあ買うも買わないも吹っ掛けられた奴の自由だけど。
 あれは多分、お互いに気に入らなくて喧嘩になっちゃった感じでしょ。
 放っておけば収まるんじゃなーい?」


「……」