【完】黒薔薇の渇愛





グイッと一気に距離を詰める桜木は、互いの唇が触れそうなくらい顔を近づけてきた。

離れようと一歩下がるけど、それを許さないのが桜木。

やっぱり手首を掴まれ、どうしたって逃げられない。



「顔真っ赤だねー。どう好き?」


「んぇ!?」


女の子らしくない変な声がでたけど、そんなの変なこと聞いてくる桜木が悪いと思う。


しかも桜木、なんだか機嫌よさそうに笑ってるし。


「天音ちゃんさー、前から思ってたけど。
 けっこー俺の顔好きでしょ?」


「なっ……なにそれ!別に好きじゃ……」


「顔近づける度照れてるし。いい加減慣れればいいのに。」



「そんなの慣れるわけ……ない、よ」



だって、恥ずかしいじゃん。


間接キスやキスされたこととか、その顔見る度思い出して。


桜木の唇に目が勝手にいっては、頬に熱が集中する。


バカみたいに振り回されてるのに
抵抗しても振りほどけないその手が、力強い。ただそれだけに男を感じて。



急に優しくなったりなんかするから
こっちだって変な警戒心失くしちゃうし……。


意味が分からない。


桜木といると、自分が何をしたいのか訳が分からなくなる。


いまだって関わりたくないって思うのに。


もし本当に関わらなくなったら……少しだけ寂しいとは……思う。



おかしな感情。


いつ芽生えたのか分からない。


桜木はそんなつもりなくても
思い返せば、桜木に助けられてばかりだって今になって思うよ。