【完】黒薔薇の渇愛





「こっちを見ている数十人。
 あれ、全員逢美だよ」


「……」


「それを束ねてるのが桜木さん」


「……あんなに、たくさんの人を?」


「うん。本当はもっといっぱいいるけど。
 今日は下の奴らはお休みさせてるの。
 大事な集会だからね」



説明してくれる朱光さんの表情は柔らかいのに、私への警戒心丸出しだ。


雪羽さんの時もそうだったけど……


もしかして私、桜木の仲間からあまりよく思われてないんじゃ……?


「ねぇー、朱光。
 いい加減、天音ちゃんにベタベタ触るのやめてくれるー?」



ピリついた空気に、遠慮なく入ってくる軽い声は
私のシャツの衿を掴んでる朱光さんの手を軽く払う。


桜木は前屈みになると、私の頭に顎を乗せ朱光さんを見る。



「あっれ、総長。
 なにそれ嫉妬ですか?
 らしくないですねー」


「なーに言ってるの、俺は自分の獲物横取りされるのが嫌いなだけ。
 それくらい朱光なら知ってるでしょ」


「明らかに今までの女と扱いが違いますけどね~。
 ……まあ総長がいいならいいですけど、なにも族の集会に連れてくることなかったんじゃないですか?
 その女確か……火炎の、岡本奏子の女だったんでしょー?
 あんな安っぽい男の元カノってだけで、信じられないんですけど。」


「……」


「……桜木さんに近づいて、なんか企んでるじゃないですか?」