【完】黒薔薇の渇愛





朱光さんの視線が私に渡される。


綺麗な顔の人間に見つめられるのは、やっぱり慣れないっていうか……緊張する。



「俺、京堂(きょうどう)朱光(あけみつ)
 よろしくねー、変態さん」


「へっ……!?違います!!
 私にだってちゃんとした名前ありますから!!
 和倉天音ですっ!」


「へぇー、天音さんねー。
 ところで天音さんは一体、どうやってうちの総長に取り入ったのかな?」

 
さっきまでニコニコしていた朱光さんが
ピリッと雰囲気を変え、私の手首を掴むと。



土手は斜面となっていて
朱光さんは掴んだ私の首根っこを軽く押すと、目線を下に向かせる。



そこに待ち受けていた光景を、夕焼け色に染まって
いるであろう瞳が映す。


「……っ」



大勢の人。


特効服を着けている人間がチラホラ。

それに数十人は整列してこちらを見ている……というよりも。


その数十人は真っ直ぐと、桜木しか見ていなかった。