温もりが思い出に変わる頃【完】

* * *


「シャワーどうしますか?」
「ああ、今はいいよ。とりあえず雑談でもしてくれれば」


部屋に入れば本来始まるのはいかがわしい行為のはず。
だけど須藤さんはベッドに腰掛けているだけで、私と視線を合わそうともしてくれなかった。

なんだか昔テレビで見ていた時と少しだけ雰囲気が違う感じがする。少し痩せたというか、心なしか目元にクマも見えるし。
もしかしてお疲れなのかな?だからこういうところに来たとか?

そういえば須藤さん、あんなに有名なアクションスターだったのに、女性関係を報道されたことがなかったっけ。
何かのインタビューでお付き合いしている人はいないのか、結婚を考えたりは、なんて当時質問されていたけど、そういうのにも今は仕事に専念したいって答えてたような。
そのせいか一部では同性愛主義者ではなんて疑惑も浮上していたけれど、こういうところに来るってことはそういうわけではなさそうだし、単純に硬派だからなのかな。そういうところも魅力的だなぁ。