温もりが思い出に変わる頃【完】

もしかして映画のシーンに私のような風俗嬢の女の子が登場したりして。なんて、流石に実体験を元にするなら、そういう描写は省くだろうな。
過去の全盛期だった頃のような、派手なアクションはもうできないらしいけど、以前とは違った形で活躍したいとコメントしている須藤さんをモニター越しに見た私は、少しだけ、ほんんお少しだけだけど、もしかしたら自殺をやめて復帰したのは私に会ったことがキッカケなのかな、なんて自惚れを抱いてしまう。
例えそうだとしてもそうでなくても、須藤さんが復帰したのは揺るぎない事実だ。
それだけでも私は嬉しくて堪らなかった。

生憎私には才能がないみたいだし、今更また努力をする気力も起きない。
だからもう役者としての道に軌道を修正することはなさそうだ。
これからはしがない店員として生きていくことになるだろう。
そんななかでも、きっとまた挫折や苦悩を経験することにはなると思う。
大きな壁が立ちはだかることもあると思う。