温もりが思い出に変わる頃【完】

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私の中で須藤さんの指が不規則に動いている。いつも同じことを客の男にされているはずなのに、どうしてか初めて味わうような刺激に腰がガクガクと震えた。
ピンポイントで私の好きなところを刺激してくる須藤さんには、色々と見透かされているような気さえした。
全て服を脱がされてベッドの上で開脚している私に、須藤さんが覆い被さってくる。
そして耳元で吐息混じりに訊ねてきた。


「さきほど演劇を学んでいたと言っていたが、その声も演技なのか?」


ふるふると首を横に振る私を見て、須藤さんは柔らかく口角を上げた。

今まで画面越しでしか見れなかったその整った顔が目の前にあることに、意識せずとも体が反応してしまう。
客によっては演技も必要となることが多いけど、須藤さんが相手だと勝手に体が熱を帯びていく。
声だって、とてもじゃないけど我慢できそうにない。
普段は立場上リードすることも珍しくないから、こんな風に一方的に攻められるのも興奮する。