温もりが思い出に変わる頃【完】

「君の方こそ可愛いと思うよ」
「えっ、ありがとうございます!」


なんて身に余るお言葉。
褒められたことで少し舞い上がってしまったのかもしれない。ちょっとだけ話そうか迷ってしまった。
私がここにいる経緯、須藤さんへの想い、全てぶちまけたらすっきりするかな、なんてことを僅かに考えてしまった。

でもきっとそんなの話されても迷惑なだけだよね。
私は風俗嬢で須藤さんはお客様。こんなに近くにいたって私達の関係は所詮その程度。
込み入った事情なんて互いに知ったこっちゃない、ただ金銭と引き換えに性欲の捌け口を提供するビジネスの場で偶然出会っただけ。
だからこんなことを考えてしまうのはやめよう。

そう思い、きっちりと仕事モードに切り替えようとした時だ。