慣れない、らしくないそんな弱音をこぼしたとき、先輩は、ぐっと眉間にシワを寄せた


「やっぱり、いい」


そのまま、ぎゅっと抱きしめてくれる

優しく撫でてくれる、何度も


分かってるんだ

あの時も、先輩の優しさで冷たかったこと


それでも


今度こそ本当に拒絶されると思うと怖いんだ


もう呼べない、そう思うのに、

裕先輩の名前を呼んだときの、なんだか、悲しそうな九条先輩の顔を思い出す



先輩が、悲しそうにするのは嫌だな

しかも、私のせいで



それに、私だって先輩のことを名前で呼びたい


月野先輩だって、先輩のこと名前で呼んでるんだもん


これは、私の少しの勇気