好きという気持ちの判断基準なんて人それぞれだ。
目が合うとドキドキするとか、夢の中にまで出てくるとか、四六時中気になって仕方がないとか。

喪女である私にとって、三次元での恋愛は夢のまた夢のようなものだった。
だから人を好きになる定義が曖昧すぎて、近藤の時は勘違いしていたのかもしれない。

じゃあ今は?私はあーくんのことをどう意識しているのだろう?
自分のことなのに分からない。だってこんな気持ち初めてだから。


「はあ……」


あれから月日は流れ、もうじきファミリーやカップル等のリア充がこぞって楽しむビッグイベントが訪れる。
バイト先に飾られた卓上のクリスマスツリーを眺めながら溜め息を零した私は、次に窓に視線を移した。
サンタにトナカイ、ツリーにベルといった、鮮やかなジェルシールが貼られている。
他にも店内のいたるところの装飾が、数週間前からクリスマス仕様にっていた。

そう、もうすぐクリスマスの季節なのだ。
あーくんのことで思い悩んでいる私などお構いなしに時間は無情に流れていって、気が付けばこんな時期になっていた。