親分とギン太が家に来てから始めての土曜日が訪れた。
つまりあーくんが家に来て一週間。たった一週間、されど一週間。

誰がどんな食べ物が嫌いかとか、好きなテレビ番組のジャンルとか、お風呂上がりのバスタオルをどう使うかとか、就寝のタイミングだとか。
そういうことを知るには十分すぎる時間だった。

ベッドの上に転がっている目覚まし時計に手を伸ばす。
……ってまだ八時じゃん。休日くらいゆっくり寝てたいっつーの。
みんなは学校が無いから良いかもしれないけど、私は平日嫌でも早起きを強いられてるのよ。
昨夜は久しぶりに夜更かしでゲームをしていたから尚更。
もう少し寝かせてちょうだいよ……。

そうして再び深いまどろみに落ちていこうとした瞬間、――ギュイイイイン!と外から聴こえてきた物騒な音に覚醒した。
弾かれたように飛び起きてカーテンを開けると、朝日が目にしみる。


「まぶしっ」


目を細めたまま窓の外を見下ろすと、庭で親分が何やら作業をしていた。
手には電動ドリル、頭にはタオルもまいて気合が入っている様子だ。