「…気づいてなかった。
いや、今ならなるほどって思えるな。
高校時代、周りは皆んなカップルで、グループで遊びに行っても、俺と花だけフリーだったんだ。だから、仕方なくフリー同士、テーマパークで乗り物に乗ったりしてた。
……花に悪いことしたな。俺のせいで彼氏が出来なかったのか?」

「…やっぱりちょっとムカつく。
そう言う高校時代の話聞くと。」

「あぶれ者だっただけなんだけど。」

「…まあいいや。でもね、花ちゃんに悪いとは思わなくていいと思うよ?」

なぜだ?

「花ちゃん、旦那様が初恋で良かったって言ってたの。旦那様だけを愛してるんだって。
昇平がいなかったら、ひょっとしたら今までに誰かが花ちゃんを捕まえていたかもしれない。花ちゃん、すっごく可愛いもの。きっと初恋の相手は他の人になってたわ。そうしたら、あの可愛い仁貴くんは生まれていないのかもしれないの。
今となっては、私も2人が、お互いにお互いの虫除けをしてくれてて良かったと思う。」