「…私ね、昨日、お父さんから話を聞くまで、自分1人が残るなんて考えてもみなかったの。当然のように家族3人で引っ越してきたわ。
でも考えてみたら、私はあの時すでに社会人1年目だった。置いていかれてもおかしくなかったのよ。
お父さんが私も連れて3人での転居を決めたから、今のこの幸せがあるの。寿貴先生と出逢えた。だから、連れて来てくれたお父さんに感謝してる。」

「うん。」

「……今日、皆んなが『ハレルヤ』を歌ってくれた時、一瞬だけど母校に戻ったような感覚に襲われたの。もしあのまま残っていたら…って考えた。母校の大聖堂で式を挙げるのは私の憧れだったから。
でもね、そこに愛する人がいなければ意味がない。懐かしいと思った。皆んなの歌声にも感動した。
でも私はやっぱりここで、A terraceで、寿貴先生と結婚式が出来て良かったと思う。
ここで、皆んなの歌を聴けて良かったと思うの。」

「花…」

「さっきの言葉、嬉しかった。
私も一生、寿貴先生について行く。
家族を大切にして、あなたを一途に愛すると誓うわ。」

「花! 俺も何度でも誓うぞ。
愛してる!」