それから用意されていた、リムジンに3人で乗り込んだ。歩いて10分ちょっとの距離とはいえ、この真夏の暑い日中に歩いて行くことは不可能だ。
ゲストたちにも、バスが用意されていた。

束の間の家族のひと時。

「仁貴、いい子にしてたねぇ。
皆んな、すっごく可愛いって褒めてくれたよ〜〜。」

「そうだな。いい子にしてたぞ。
授乳しなくていいのか?」

「ここではちょっと…。
ドレスを一旦脱がないとあげられないの。
着いたらすぐにあげるわ。」

今日はホスピタルのVIP待合室を3室とも借りている。そこでなら、少し寛ぐ事もできるだろう。運良くそこも、桜川産婦人科寄りの場所にあった。

賢人くんが何度も事務局と掛け合って、使用許可を取ったり、導線を確かめてくれたおかげで、何もかもスムーズな流れで事が運んでいた。彼が、心からホテルマンという職業を楽しんでいるのがよくわかる。特にウエディング部門を充実させたいと常に考えているそうだ。その気概が伝わってくる。
顔立ちも華やかで、めちゃくちゃいい男なんだよな〜。光さんにベタ惚れで良かった…。