隣を歩く父は、先程の泣き虫モードから一転、堂々とゆったりとした足取りで歩いている。
バージンロードの両サイドには、故郷の幼馴染に、恩師。こちらで知り合った朝倉のスタッフがいる。そして親族。新郎側には松村夫妻もいる。
皆さんに見守られて、私は愛する人の元へ。

「花…、す、すっごく綺麗だ…」

…エェ! ちょっと待って! 
寿貴先生までもう泣いているの⁉︎
父が泣き止んだと思ったら、今度はこっちもか…。
最近、この泣き虫なところや親バカぶりが、何となく父に似てきたような気がする…。
…ということは、自覚はあったけど、結局私って相当なファザコンなんだわ…。

「寿貴くん、俺は君が花の相手で良かったと思っている。花を頼むよ。花は俺の大事な宝だ。こんなに愛らしい花なんだ。一生愛でて、大切にすると誓ってくれ。」

「もちろんです!
俺にはもったいないくらいの大切な奥さんです! 愛でて愛でて愛でまくります!」

「寿貴先生……」

「よし! 任せたぞ!」

「はい‼︎ 」



………うん。私は幸せだなぁ…。