最大限譲歩したつもりだった。
何故かピタッと動きが止まった寿貴先生。
よし! 説得成功?

「じゃあ、褒美。褒美をくれ。」

「はい?
…あのねー、育休中の私にそんなこと言う?……もう〜。何が欲しいの?
………ちょ、ちょっと⁉︎ 何してるの⁉︎ 」

「運んでる。」

「どうしてそうなる⁉︎ 」

「褒美の前払い。いや、頭金だ。」

「…キャァ‼︎」

またもやベッドに連れ込まれる。

「もうっ! スピーチ練習しないと……ん、んんー」

「シッ! 仁貴が起きるだろ?
……イヤか?」

あ〜もう! そんな風に言われてイヤなわけないじゃない。

「……イヤじゃない、けど…」

にっこり、嬉しそうに笑う旦那様…
好きだからね…この笑顔に弱いんだ…。




………と言うことがあった。


結局のところ、あの後ちゃんとスピーチを考えたのだろうか?
同じことを繰り返しそうなので、確かめるのはやめたのだ。