二人はなぜか一条さんを取り合うことが多い。

一条さんの何がそんなに魅力的なのだろうか?

首をひねりながら玲奈を観察していると「さあ、会議を始めるわよ。みんな会議室にいどうして」と玲奈が社員達に声をかけた。

皆が会議室へと向かい、椅子に腰を下ろすと、今井部長が会議室へと入って来た。

「おっ集まっているな。じゃあ会議を始めるぞ。今回考えてもらいたいのは冬に向けての雑貨だ」

ん?冬に向けて?

今は六月だ夏に入ったばかり、冬って……。

翔真が怪訝な顔をしていると、涼がそっと声をかけてきた。

「今から冬の商品を考えていかないと冬に間に合わないんだよ」

なるほど、今から企画して商品にして売り出すとなると、それぐらいかかるということか……。

納得して頷くと今井部長から話の続きが始まる。

「それで、どんな物にしようかと思っていたんだが今回は、加湿器に力を入れようと思っている。近年ウイルスや除菌といった分野がかなり利益を上げているからな。そこで良い案があったら出してほしい。良ければ新人の物でも採用するぞ」

そう言った今井部長の目が翔真をとらえた。

うわっーー。

俺も企画書出せってことか……。

翔真は憂鬱な気分のまま会議は終わった。