「あーーぁ、優しい彼氏が欲しいようーー!!」

ベロベロになった萌を抱きかかえるように歩く涼。

「私ってば、こんなに可愛いのにどうして彼氏がいないの?」

「それ、自分で言う?」

涼はクスクスと笑いながら苦笑いを浮かべた。

「私……可愛くない?」

萌が大きな瞳に涙を浮かべ涼を見つめた。その瞬間、涼の体から熱い感情の波があふれ出し、何も考えられなくなると、萌の唇をふさいでいた。





「可愛いよ……萌」






思い出した。

そうだった……。


何もしゃべらず、固まっている萌に涼がこれでもかと、キスを落としていく。


「もしかして、思い出した?」

チュッと唇にキスをしながら問う涼。

「それで、どうする?」

どうするとは……?

「萌が嫌なら離れるけど?」



私は……。



いつも隣にいた人。

喧嘩仲間仲間だと思っていた人。

いないと寂しい人。

山口が好きでもない人とこういうことをすると思った時、胸が締め付けられた。





その理由は……。





私はこの人が好きなんだ。


萌は、涼の首にしがみついていた。

「……っき……」

「ん?……」

「好き……私は山口が好きなの」

「うん。知ってるよ」

余裕の笑みを見せる涼の顔に萌は軽く両手で平手打ちをした。

何なのこの余裕の顔は……。

すると……。

「だって昨日、俺にしがみつきながら何度も甘えた声で好きだって言ってたし」

なっ……なにーーーー!!!!


文句を言おうと口を開こうとした時、また涼にキスで口を塞がれてしまう。


「いいから、お前は黙って俺に溺れろ」

いやーー!!

誰よこれ!!

甘い、甘いよーーーー!!!!



二人の恋は始まったばかり。




                 
                fin