番外編   今度は萌がタジタジです。



萌はひどい頭痛で目を覚ました。

いっ……痛い……。


っていうか、ここは何処?

最悪だ……私……服着てない!!

と、言うことは……小説とかなら隣に、見知らぬ男性がいて、恋に落ちちゃったりするんだよね。



ゆっくりと隣で眠っている男性を見た。

そして、萌は絶句する。

山口ーーーー!!!!

嘘でしょ、どうして……。

昨日何があったんだっけ?

確か昨日は仕事が早く終わって、山口と日野くんと一緒に飲みに行ったんだ。それで、調子に乗って、はしごして……。

その後、何も覚えていない。

サーーッと血の気が引いていく。

何があったのかは、今のこの状況が教えてくれていた。

うそ……。

山口は、何でこんなことしたの?

男は好きでもない人とそう言うことができるって……。

私の心臓がなぜかギュッと締め付けられた。

何で……。

その時、隣で眠っていた山口がゆっくりと目を開き『ふっ』と笑うと、萌の心臓がドキンッと跳ねた。

うそ……。

山口が格好良く見えるとか、ありえないでしょう……。

「ん……。萌どうした?」

もっ……萌って、どうして呼び捨てで呼んでくるの?

「ぷっ……何その顔、昨日のこと覚えてないとか?」

全くもってその通りよ……。

すると、涼は萌を抱き寄せ、ベッドに沈めた。

「ちょっと、何するのよ!!」

「少し黙って……」

そう言った涼が萌の唇にチュッとキスをした。

ひゃーー!!

何!!

チュッチュッとリップ音が鳴り響き、それが甘くとろけるようなキスへと変わっていく。

「んっ……ちょっと……待って」

「待たない」

どうして、何で?

「山口は好きでもない人とこう言うことが出来るの?」

「はぁ……?」

涼の間抜けな声がして、冷たい瞳で見つめられた。

「お前、俺が言ったことも覚えてないの?」

えっ……。

何のこと?

キョトンとしている萌の顔を見つめ、涼は溜め息を付いた。

「だったら思い出させてあげる」


再び甘いキスが口をふさぐ。

その合間に聞こえてくる甘い言葉。

「好きだよ……。好きだ……萌」

山口が私を好き?

少しずつ昨夜の記憶が蘇っていった。