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次の年の春。

ここにやりがいを見いだせない社員が一人。

「あーー、また来たな、あの手のタイプ」

「涼、今年は早めにやっちゃわない?」

「面白そうだな」

何やらいたずらを思いついた子供の様に、涼と萌の二人の目がキラキラと輝いている。

「玲奈さんちょっとこっちに来て下さい。今年の新人やる気が出ないみたいだから、励ましてあげて下さい」

励ますって?

どうしたらいいのかしら?

「玲奈さんは頑張れって言ってあげればいいんですよ」

そう言って萌が玲奈の眼鏡を外し髪を下ろした。

玲奈を見た新入社員は目を見開き、息を呑む音が聞こえた。

「初めてのことばかりで大変だと思うけれど、一緒に頑張りましょう」

笑顔で微笑む玲奈を見て新入社員の目はキラキラと輝きだした。

「おっ……俺、頑張ります」


今年も玲奈に魅了され、たぶらかされた新入社員が一人……。


「今年も玲奈さん、パワー炸裂だね!!」

「だな!!やっぱ、玲奈さんはすげーーや」

「「イッエーーイ」」とハイタッチを交わす二人は今日も楽しそうだった。







           
    
            fin