* 優人side


今日は玲奈とレストランで食事をするため、待ち合わせのホテルのロビーで新聞を読みながら待っていた。玲奈が俺の為に今頃お洒落をしてこちらへ向かっていると思うだけで、かってに口角が上がってきてしまう。それを周りに悟られないよう顔に力を入れるが、どうしても口角が上がるのをおさえらでずいた時、ホテルのロビーがどよめいた。

新聞から顔を上げると目の前に美しく着飾った玲奈が現れ目を奪われた。動かない俺を心配して玲奈が声をかけてくる。

「お待たせしてしまいましたか?」

いや、全然待っていない。

新聞を読むふりをして、玲奈を思い、どんなドレスで来るのか想像していると、時間はあっという間に過ぎていた。

心配そうに眉お寄せる玲奈も美しく、可愛らしい。

俺の女神は本当に美しい。

玲奈は眉を寄せたまま「待たせてしまってごめんなさい」と謝ってきた。そんなことを気にする必要はないのに。

「玲奈を待っている時間は幸せだよ」と素直な気持ちを口にすると玲奈が顔を真っ赤にして俯いたが、すかさず反撃してきた。

「私はもっと幸せ者です」

俺の心臓は今まで経験したことがないくらい高鳴り、体が熱くなっていく。

一度大きく息を吸い込み吐き出すと平静を装った。

「そろそろレストランの方へ行こう」

優人は玲奈の腰に手を回しエスコートした時、ビクリと体を震わせてしまった。

なっ……。

指に触れたなめらかな感触。

……背中ーーーー!!!!

そう今日玲奈が選んだドレスは前から見ると、とても上品なドレスなのだが、後ろ姿はとても大胆になっていた。それは背中から腰までがポッカリ開いた魅惑のドレス。

俺は玲奈の背中が人目に触れないよう急いでストールを頼んだ。

ストールが届くと玲奈はキョトンっと俺を見上げてくる。

やばい……。

もう無理だ。

「こういうドレスは好きではなかったですか?」

心配している顔が可愛すぎる。

優人は右手で口を押さえ目を泳がせた。

好きか嫌いかで答えるなら……

好きだ……好きに決まっている。


限界だ……。


俺の口は玲奈の耳元に吸い寄せられ「玲奈……ごめん……レストランの食事中止にしていい?」思考よりも口がかってに動いていた。